工事請負契約について
住宅を建設するときに最も大事なものは、ハウスメーカー(工務店も含む)と締結する工事請負契約書だと思います。この業界では、工事請負契約書というのは、工事請負約款、住宅性能保証約款、各種図面などの設計図、仕様書、仕上表、最終見積書などを含めて総称的にいっているようですが、何社かの契約書を検討してみて、設計図書や仕様書はともかく工事請負約款の条文を読んでみて、共通していえることは数千万円する工事を発注する注文者の立場より、受注する請負業者側に立った一方的に請負業者に有利な契約条項が、あまりにも多いということです。
テレビで時々欠陥住宅について特集していることがありますが、私の印象ではこのような欠陥住宅を生む諸悪の根源の一つに、この工事請負契約書の欠陥があるように思われます。確かにマイホームづくりは、一生に一度あるかないかのことですから、発注する側に建築関係の仕事に関係していない限り、ほとんど知識が乏しく専門家である業者のいいなりにならざるを得ない面があります。業者と打合せをしていても、専門用語でいわれ何のことかわからず、といって聞くのもはばかるときがあります。家に帰ってから住宅関連の本で調べたり、インターネットで調べて初めて意味がわかったという経験もあります。したがって、契約書なども業者の用意する書類を事前に見せてもらうこともなく、大安など日の好い日に契約しましょう、などといわれてそのまま契約書に印鑑を押してしまうのです。かくいう私も、過去2回の契約では業者の言うがままに契約書に署名、捺印したのでした。
家づくりでまず一番関心が高いのは、間取りではないでしょうか。その次は設備や材質、そして構造、断熱性能、気密性能、省エネ対策、シックハウス対策などなど、人によって関心の度合い、優先度は異なると思いますが、こだわれば大変奥の深いテーマがたくさんあります。ハウスメーカーもそれらのテーマで自社製品の優位性を主張しています。何年も時間をかけて検討すればいいのでしょうが、実際に家づくりを考え出すと一日も早く家が欲しくなってくるもののようです。わがジイとバアもはじめは、定年退職後ぐらいに建てるつもりで考えていたのが、いつのまにか今年中に何とかしたい、に変わってきてしまいました。それほど家づくりというのは、計画を煮詰めていく過程が楽しく魅力的な作業なのです。どんな家にしようかとどんどん夢がふくらみ、そして予算もふくらみますが、家族の会話も弾むようになるし、何より一つの目的に向かって家族も一つになれる、とても麗しい期間です。こんなホームページをつくるのもこのような歓びの顕われかもしれません。
しかし、ここに落とし穴があって、実は夢のようなマイホームを一緒に考えてくれているはずの業者が、いざというときに本当に頼りになるのかという問題が見えなくなってしまうことがあります。欠陥住宅の事例をみると、こんなはずではなかったとか、見えないところで手抜きをされたとか、営業さんとの話と実際の施工がかけ離れていたなどというのがほとんどです。例えば、営業との打合せではサービスになるはずが、やってくれないとか後で請求されたとかこういう類のものは、契約の段階できちんとしておくべきものです。工事請負契約書に含まれている設計図書、中でも仕様書や仕上表などは家の最終的な仕上がり具合を決めるものですから、それが詳細に決めていないと業者の裁量で仕入単価の安い同等品(?)を使われ、何年かすると急激に品質が落ちるなどということになりかねません。見えなくなるところは施工状態を写真などで記録させるとか、きちんと専門家に頼んで検査することも必要かと思います。最近はホームページに基礎工事や構造上の耐震補強金物などについて写真を送るとその画像をもとに審査してくれる比較的安価な方法も紹介されています。
支払い条件などもよく注意する必要がありそうです。今交渉している業者は、工事の進捗よりも早い段階で前金のような形で、早めの入金を求めています。公共工事などでは、原則として出来高払いですから工事も済んでいないのに支払うことはありませんが、個人住宅の世界では前払いが常識のようです。ひどい業者は、公庫融資住宅が完成検査後2ヶ月ほど最終の融資があとになるため、その間発注者に銀行からつなぎ融資を受けさせるところもあるようです。「御施主様」などと歯の浮くような持ち上げ方をしながら、実は「かもねぎ様」と思っているのでしょうか。
最近一部上場企業である殖産住宅が民事再生法の申請を出しました。業界ではうわさでもあったのでしょうが、最近になって家づくりを始めたような個人には寝耳に水です。私の姪夫婦もようやくマイホームを造れるとうれしい便りをもらってから2ヶ月もしないうちに、頭金だけ払って契約した会社が倒産してしまったという悲しい便りになりました。財団法人住宅性能保証機構では、住宅性能保証のほか完成保証制度も扱ってるようですが、保険料が高く結局工事費に跳ね返ってきてしまうものです。しかし、工事の途中で倒産され元手が戻らない上に更に資金が必要になることを考えると保険として掛けておく必要があるかもしれません。本来このようなときの対処について契約書に書いておくべきですが、発注者側が支払い能力を失ったときの保証制度については、連帯保証についてきっちり書いてありますが完成保証についてはほとんどふれられていません。また、無事住宅は建設できてもこういう時代ですから、何年後かには倒産してしまうこともあり、せっかくの性能保証もしてくれる当事者がいなくなってしまいます。住宅保証機構では、保証対象物件については、80%まで他社で補修する費用を出すようになっています。この保証対象物件に登録するよう業者に求める必要があると思います。品確法で10年の保証が法律で定められるようになったといっても、当事者がいなければ他に誰も責任はとりません。
また、実際の工事は契約する業者が直営で行うことはあまりないようです。建設業自体が専門分化している上に、下請け、孫請けが日常的に行われているので、契約した会社のブランドだけを信用していると失敗することもあるようです。構造見学会や完成見学会を見ることはもちろん大事ですが、自分の家を造る下請け業者についてもよくチェックしたほうがいいようです。出来あがってからでは遅いので、造っているときにあまりひどい下請けは代えてもらうぐらいのつもりがあったほうがいいと思っています。何せ大金を支払うのですから。
そこで、現在交渉している会社に対して、工事請負契約書を事前に見せていただき、問題を感じて検討していただきたい事項を20項目にまとめて、回答を求めています。回答次第で契約するかどうかの最終的な判断をするつもりです。この会社の仕事振りは、信頼に足りるものと思っていますが、あまりにも前近代的な契約内容だったため、あえてこの会社の発展を願って検討をお願いしました。その内容と結果を、次のページ以降に掲載しています。
トップへ  目次へ  次へ(02/3/4new)